成人が罹ると重症化の可能性のある感染症
皆さん、こんにちは。
今回はおたふく風邪に関する雑学をご紹介します。
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、主に子どもがかかりやすい感染症ですが、成人が感染すると重症化することもある病気です。
耳下腺の腫れが特徴的なこの病気は、一度罹ると免疫がつきますが、日常生活での感染予防が重要です。
おたふく風邪の症状、合併症のリスク、ワクチンの効果や予防法について詳しく解説し、特に成人の方にも
知っておいていただきたいポイントをお伝えします。
おたふく風邪とは?
おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、主に小児に感染するムンプスウイルスによって引き起こされる感染症で、耳の下の腫れが大きな特徴です。
この病気は症状の重さに個人差があり、通常は軽症で済むものの、まれに重い合併症を引き起こすことも
あります。
耳の下が腫れた見た目が「お多福面」に似ているため、「おたふく風邪」と呼ばれるようになりました。
海外では「ムンプス」と呼ばれることが多いです。
おたふく風邪の原因と感染経路
おたふく風邪は、ムンプスウイルスと呼ばれるウイルスが原因で発症します。
このウイルスは非常に感染力が強く、感染した人の唾液やくしゃみ・咳によって放出される飛沫を通じて
広がります。
また、直接的な接触によっても感染するため、家族間や学校、保育園などの集団生活の場で流行しやすい特徴があります。
おたふく風邪の主な症状
おたふく風邪の症状には、以下のような特徴があります。
- 耳下腺や顎下腺の腫れと痛み
耳の下や顎の周辺が痛みを伴って腫れ、片側または両側に現れます。
この腫れは数日から1週間ほど続き、見た目からもおたふく風邪と判断されることが多いです。
- 発熱
感染初期には37〜39度程度の発熱があり、数日間続くことが一般的です。
- 倦怠感と筋肉痛
全身の怠さや筋肉痛、食欲不振が伴うこともあり、特に小児では症状が重く感じられることがあります。
成人で発症する場合、小児に比べて症状が重く、耳下腺の痛みが強くなりがちです。
特に20歳以上の男性では、後述の合併症が起こるリスクが高くなることもあります。
合併症を引き起こすリスク
通常は1〜2週間ほどで自然に回復するおたふく風邪ですが、稀に合併症を引き起こすことがあります。
以下に、注意すべき合併症を紹介します。
- 難聴
ムンプスウイルスが内耳に影響を与え、一時的または永続的な難聴が発生することがあります。
片耳のみ影響が出るケースが多いですが、特に両耳に影響が及ぶ場合には深刻な影響をもたらすことが
あります。
- 卵巣炎(女性)
女性にも卵巣炎が発生することがありますが、頻度は低く、多くは一過性で終わります。
おたふく風邪の治療方法
おたふく風邪には直接的な治療薬がなく、体が自然にウイルスと戦って回復するのを待つことが一般的です。
症状を軽減するために以下のような対症療法が行われます。
- 安静と水分補給
体がウイルスと戦うためには十分な休養と水分補給が重要です。
安静にし、体に負担がかからないようにしましょう。
- 鎮痛剤の使用
耳の下の痛みや発熱がある場合は、医師の指導の下で鎮痛剤や解熱剤を使用することが効果的です。
- 冷却
耳の下の腫れや痛みを和らげるために、冷たいタオルや氷で患部を冷やすのも効果的です。
おたふく風邪の予防方法
おたふく風邪の予防法として最も効果的なのが、ムンプスワクチンの接種です。
日本では、MR(麻疹風疹)ワクチンと並行して接種されることが多いものの、任意接種とされており、必須
ではありません。
しかし、ワクチン接種によって、感染リスクが大幅に減少し、感染しても軽症で済む可能性が高まります。
感染後の免疫
おたふく風邪は一度感染すると、体内に特異的な抗体が作られます。
この抗体によって、ほとんどの人は再感染を防ぐ免疫が得られます。
感染後に獲得する免疫は、一般的に長期間(ほぼ生涯)持続すると考えられています。
一方、ワクチンによる予防も非常に効果的ですが、免疫の持続期間には個人差があり、ワクチン接種後もごく稀に感染する「ブレイクスルー感染」が報告されています。
これは、ワクチンを受けても完全に感染を防げないケースのことで、時間の経過とともに免疫力が低下する
場合や、個人の免疫応答にバラツキがあるためと考えられています。
しかし、ワクチン接種をしている場合、感染したとしても通常は症状が軽く済むため、ワクチン接種は重要な予防手段として推奨されます。
成人でのおたふく風邪感染リスクとその影響
成人が感染すると、小児よりも症状が重くなることが多いです。
特に成人男性においては、精巣炎が比較的高い頻度で発生するため注意が必要です。
精巣炎は、感染による精巣の腫れと痛みが伴い、発熱や全身の倦怠感も併発することがあります。
これが原因で精子の生産が一時的に低下することもありますが、ごくまれに不妊症のリスクもあります。
また、成人女性でも、稀に卵巣炎を引き起こす可能性があり、下腹部の痛みや発熱などの症状が現れることがあります。
しかし、多くは一時的であり、重症化するケースは少ないです。
このようなリスクがあるため、小児期におたふく風邪にかかっていない成人やワクチン接種をしていない人
には、成人後の予防接種が検討されます。
特に妊娠を計画している女性やリスクが高い環境にいる人々は、かかりつけの医師と相談し、追加のワクチン
接種について検討するとよいでしょう。
おわりに
おたふく風邪は子どもに多い感染症ですが、放置してしまうと合併症のリスクも伴います。
特に家庭内や集団生活の場では感染予防を徹底し、発症した場合は無理をせず安静に過ごすことが重要です。
予防接種の有効性を理解し、大切な家族や自分自身の健康を守りましょう。
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以上となります。お読み頂きありがとうございました。
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