岡本太郎が遺した「芸術は爆発だ!」の象徴に迫る
皆さん、こんにちは!
今回は太陽の塔に関する雑学をご紹介します!
その姿を初めて見たとき、多くの人がこう思います。「あれは何なんだ?」と。
巨大で奇妙、けれどどこか惹かれるフォルム。
この塔は1970年の大阪万博(日本万国博覧会)で誕生し、日本人の記憶に強烈なインパクトを残しました。
半世紀以上経った今なお、多くの人々を惹きつけてやまないその魅力とは?
この記事では、太陽の塔の誕生から現在までの歴史、デザインに込められた意味、塔内の展示、修復の裏話、そしてアクセス情報やトリビアまでを徹底解説します。
◆ 太陽の塔とは? — 概要と基本情報
太陽の塔は、1970年に開催された万国博覧会(通称:大阪万博)のテーマ館の一部として建設された芸術作品です。
塔の高さはおよそ70m、左右に大きく広げた腕はそれぞれ約25mにも及びます。
見る者を圧倒するそのスケール感と、独特なデザインは今も色あせることがありません。
◆ 背景:なぜ太陽の塔が建てられたのか?
大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。
未来技術の祭典とも言えるこの万博で、岡本太郎はただの近未来的なデザインではなく、「人間とは何か」「生命とは何か」という根源的な問いを芸術で示そうとしました。
岡本太郎はこう語っています。
未来を語るなら、過去と現在を無視することはできない。
太陽の塔は、人間の時間軸そのものなんだ。
こうして誕生したのが、過去・現在・未来を象徴する3つの顔を持つ太陽の塔だったのです。
◆ 3つの「顔」に秘められた意味
太陽の塔の3つの顔にはそれぞれ以下のような意味が込められています。
- 黄金の顔(未来)
塔のてっぺんにある金色の顔です。これは未来を見つめる目として設計されました。
円盤状の目は、宇宙的な視点を感じさせ、未来への希望や警告を内包しています。
- 太陽の顔(現在)
塔の正面に大きく描かれているのが「現在の顔」です。人間の今この瞬間を表現しています。
目を見開いたような顔は、生命の力強さを象徴しています。
- 黒い太陽(過去)
塔の背面にあるのが、やや不気味とも感じられる「黒い太陽」です。
これは人類の歴史、過去の記憶を意味します。
人間の原始的な感情や闇の部分にも光を当てる、岡本の哲学が表れています。
◆ 塔内展示:「生命の樹」と進化のドラマ
塔の内部には、「生命の樹(せいめいのき)」と呼ばれる高さ41mの巨大な立体構造がそびえ立っています。
この生命の樹には、アメーバから魚類、恐竜、哺乳類、人類へと進化する過程を示す約33種類の生物模型が
配置されています。
まるで生命の歴史を縦に辿るような構成になっており、照明や音響によって幻想的かつドラマチックな演出がされています。
万博当時はこの塔内部が「未来への祈りの空間」として多くの来場者を魅了しました。
現在、塔内の見学は完全予約制となっており、約30分のガイド付きツアーで見学できます。
◆ 岡本太郎の思想:芸術は社会を問い直す装置
太陽の塔は、単なるモニュメントではありません。それは芸術家・岡本太郎の思想の塊です。
彼は「芸術は爆発だ」という言葉で知られていますが、それは「既成概念を壊して、新しいものを生み出す
エネルギー」だという意味です。
太陽の塔もまた、進歩と調和というお題目だけではなく、「進歩とは何か?調和とは誰のためのものか?」と問いかける存在なのです。
◆ 修復と再生:時を超えて蘇った芸術
太陽の塔は、万博終了後、長年にわたり内部が閉鎖され、傷みも進行していました。
しかし、2000年代に入ってからその保存と再生が本格的に検討され、2018年、内部公開が48年ぶりに復活
しました。
修復では、劣化した構造体の補強はもちろん、耐震対策や空調、照明システムの最新化が施され、現代に蘇る「生きた芸術」として再誕しました。
◆ 太陽の塔へのアクセス情報
太陽の塔へのアクセス情報は以下の通りです。
- 所在地:大阪府吹田市千里万博公園1-1(万博記念公園内)
- 最寄駅:大阪モノレール「万博記念公園駅」または「公園東口駅」より徒歩5分
- 営業時間:9:30~17:00(最終入館16:30)※月曜休館
- 料金
🎫 万博記念公園入園料:大人260円/小中学生80円
🎫 太陽の塔内部見学:大人720円/小中学生310円(要予約)
◆ 「地底の太陽」──幻の巨大オブジェと復活
太陽の塔の地下には、かつて「地底の太陽」と呼ばれる幻想的な巨大オブジェが設置されていました。
これは、1970年の大阪万博当時に「生命の神秘」を表現するために制作されたものです。
直径約3mほどの球体に無数の顔が浮かび上がる異形の造形で、人間の原始的な信仰や生命の根源を象徴して
いました。
作者は岡本太郎本人の構想に基づき、彫刻家・早川良雄らが制作しました。
万博閉幕後に撤去され、長年行方不明とされていましたが、一部パーツは発見され、記録や資料を基に2018年にレプリカとして復元されました。
このレプリカは太陽の塔内部公開にあわせて一般にも公開されており、当時の展示空間を体感できる貴重な
ものとなっています。
◆ 磯崎新の関与──構造設計の支援
太陽の塔は、芸術家・岡本太郎の壮大なビジョンによって設計されましたが、実際に塔を建築物として成立
させるための構造設計には、建築家の磯崎新(いそざき あらた)が協力していました。
磯崎新は当時、まだ若手ながら注目されていた建築家で、後に国際的な建築賞を多数受賞する人物です。
岡本太郎の自由奔放な発想を、構造的・技術的に実現可能な形へと調整する重要な役割を担いました。
内部に通る生命の樹や地下構造なども含め、磯崎のチームは非常に複雑な空間構成の実現に尽力しました。
このように、芸術と建築の異なる才能が融合することで、あの奇跡のような塔が完成したのです。
◆ 塔の外装──特殊塗装と光の反射制御
太陽の塔の外装には、見た目の美しさだけでなく、機能的な工夫も施されています。
塔の外側には、白色を基調とした特殊な塗料が用いられており、ただ白く塗装しているわけではありません。
表面には細かな凹凸(テクスチャー)があり、これにより太陽光を受けても反射光が拡散されてギラつかない工夫が施されています。
この技術により、晴天時でも「眩しすぎず」目に優しい見え方を維持し、また時間帯や天候によって様々な
表情を見せる独特の質感を実現しています。
塗装は劣化しやすいため、塔の外壁は定期的に補修・再塗装が行われています。
◆ 登録有形文化財への登録
太陽の塔は、2018年3月16日に国の登録有形文化財として正式に登録されました。
登録の理由としては、「万博の象徴として広く国民に親しまれ、日本の戦後文化や芸術、建築史を象徴する
優れた作品」であることが評価されました。
この登録によって、太陽の塔の保存・活用が法的に保護されることとなり、次世代への継承がより確かなものとなりました。
おわりに
太陽の塔は、単なる芸術作品や観光名所に留まりません。
それは、人類の過去・現在・未来を見つめ、「私たちはどこから来て、どこへ向かうのか?」という問いを
投げかけてくる存在です。
テクノロジーが進化し、AIや宇宙開発が現実のものとなった今だからこそ、太陽の塔は再び輝きを増しているのかもしれません。
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以上となります!お読み頂きありがとうございました!
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