脅威の感染力を持つ感染症
皆さん、こんにちは。
今回ははしかに関する雑学をご紹介します。
はしか(麻疹)は、感染力の非常に強いウイルス性疾患で、特に小さな子供や免疫力が低下している人々に
とっては深刻な健康リスクとなります。
この記事では、はしかの概要やその歴史、原因、症状、予防方法・治療方法などについて詳しく解説します。
はしかとは?
はしかは主に飛沫感染や空気感染によって広がる感染症で、紀元前から人類社会で猛威を振るってきた歴史的な病気です。
1950年代にウイルスが分離され、1960年代にワクチンが開発されるまで、世界中で多くの子どもや大人が
この感染症で命を落としてきました。
今日ではワクチン接種が普及し、多くの国で排除が目指されていますが、依然として一部の地域では流行が
見られます。
はしかの歴史
はしかの起源は数千年前にさかのぼるとされており、初めて記録に残っているのは古代インドやエジプトの
医書です。
8世紀頃には、中東で「ルブラン」という病名で記載され、そこからヨーロッパへと伝わりました。
1954年にアメリカのジョン・エンダーズ博士らが、はしかウイルスを初めて分離し、研究が進むとともに予防接種の重要性が認識されるようになりました。
1960年代にはワクチンが開発され、はしかの感染率を劇的に減少させることができました。
はしかの原因と感染経路
はしかは「麻疹ウイルス」というRNAウイルスによって引き起こされ、感染力が非常に強いため、感染者と
同じ空間にいるだけでも空気感染します。
また、飛沫や接触を通しても感染するため、家庭や学校、公共の場での感染拡大が早く進む特徴があります。
はしかの主な症状
はしかの初期症状は、風邪に似ていることが多く、発熱、鼻水、咳、結膜炎などが現れます。
これらの症状の数日後に、体に赤い発疹が現れ始め、特に顔から広がって全身に及びます。
高熱も続き、子どもや免疫が低い人には重篤な合併症(肺炎や脳炎など)が生じるリスクがあります。
はしかの予防方法と治療方法
はしかの最も効果的な予防方法は予防接種です。
通常、MMRワクチン(はしか、風疹、おたふく風邪に対するワクチン)が使用され、1歳前後と小学校入学前の二回の接種が推奨されています。
また、感染を防ぐためには、手洗いやマスクの着用、換気なども重要です。
はしかに対する特効薬はなく、対症療法が行われます。
感染力の高さ
はしかウイルスの感染力は、一般的な感染症の中でも極めて強いとされています。
具体的には、感染者が部屋にいると、その空間で数時間滞在するだけで免疫を持っていない人に感染する
リスクが非常に高く、約90%の確率で感染します。
この感染力の強さは、空気中に漂うウイルスを吸い込むことでも感染が成立するためです。
はしかの「基本再生産数(R0)」は12〜18とされ、これは1人の感染者が平均で12~18人に感染を広げる
可能性があることを意味します。
インフルエンザのR0(1~2)や風疹のR0(5~7)と比べて非常に高く、感染拡大が速いことが分かります。
はしかウイルスは、呼吸器を介して拡散しやすく、感染力が強いため、予防接種がない集団では迅速な広がりが発生する可能性があります。
完全排除が目指される病気
はしかはWHO(世界保健機関)が完全排除を目指す病気として位置づけている数少ない疾患の一つです。
はしかのように強い感染力を持つ病気は、公衆衛生上の大きなリスクを伴うため、各国でワクチン接種が推奨され、時に義務化されています。
WHOはワクチン接種率を95%以上に保つことが、地域レベルでの流行を予防し、最終的にははしかを世界的に排除するために重要としています。
はしかウイルスはヒトのみを宿主とするため、理論上はすべての人に免疫を与えることでウイルスが存在し
続けることができなくなる、つまり「排除」が可能です。
既にアメリカやいくつかのヨーロッパの国々では、はしかの「排除状態」が宣言されています。
しかし、ワクチン接種率の低下などにより、再び流行が発生するリスクもあります。
自然免疫が得られる
はしかに一度感染した人は、ウイルスに対する強い免疫が体内に形成されます。
この免疫は通常、生涯にわたって持続するとされ、同じウイルスによる再感染はほとんど起こりません。
これは、はしかウイルスが他のウイルスと比較して変異しにくい特性を持つためです。
インフルエンザウイルスのように毎年変異しないため、一度の感染で体が覚えた免疫が再度役に立つのです。
ただし、感染による自然免疫には注意が必要です。
感染を通じて免疫を獲得するためにはしかの発症が必要であり、はしかには重篤な合併症(例えば肺炎、脳炎など)が伴うリスクがあります。
これにより、自然感染による免疫獲得は極力避け、ワクチンによる安全な免疫獲得が推奨されます。
おわりに
はしかは非常に感染力が強く、特に免疫力が低い人には重篤な影響を及ぼすことがありますが、予防接種に
より予防できる病気です。
感染を防ぐためには、適切なワクチン接種を受け、感染予防の基本的な習慣を心がけることが大切です。
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以上となります。お読み頂きありがとうございました。
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